2022.10.25

【ニュース】ビジネスと人権市民社会プラットフォームが「SDGs実施指針に関する提言書」を提出

JANICが幹事団体を務めるビジネスと人権市民社会プラットフォーム(BHRC)は10月14日、来年改定が予定されている「SDGs実施指針に関する提言書」を提出いたしました。

「SDGs実施指針」とは、政府がSDGsを達成するために掲げる指針で、2019年にも改定されています。

今回、BHRCが提言書を出した理由は、SDGsの達成と人権の保護は強く結びついており、実施指針の中でビジネスはSDGsを推進する重要なステークホルダーとして明記されているからです。BHRCは、実施指針にさらにビジネスと人権の視点が反映されるように、以下の提言を行いました。提言書の詳細な内容はこちらからご覧いただけます。

SDGs実施指針改定に関する提言:ビジネスと人権市民社会プラットフォーム

1.実施指針に「ビジネスと人権」の項目を設立すること

「指導原則」や OECD 多国籍企業行動指針は、企業活動における人権侵害の防止において不可欠な原則となっ ており、企業の役割と責任についても明記されています。人権尊重と SDGs は深く関わっており、企業が更に SDGs の取り組みを強化できるように実施指針内に「ビジネスと人権」の項目を独立して設けることを提案します。

2. 政府によるモニタリングとギャップ分析を実施すること

「ガイドライン」のように政府が企業の行動を推進する人権尊重の取り組みに、実施に関してのモニタリングも含め ることを提案します。企業に対し、ガイドラインを設定しても実際にどの程度実行されているのか、人権デューデリ ジェンスの開示方法を含め明確な規則を設けることで企業の人権尊重の責任を推し進めることができます。聞き取 りを含めたモニタリングを実施し、ギャップ分析をすることで企業の責任と政府の義務を果たすことができると考えま す。

3.セミナーや勉強会の開催

特に、体力のない中小企業に対しては、各地域でのセミナー・勉強会の開催、取組を促進させる制度づくりなど で、その取り組みを後押しすべきです。

4.指標の策定と法制化

その上で、企業の取組が進まない場合は、年限を区切って人権デューディリジェンスの取組を強化する法制化に 踏み切ることを明記すべきです。指標として、人権デューディリジェンスの定義を定め、「従業員 500 人以上の企 業の 50%が人権デューディリジェンスに取り組んでいること」を提案します。

5. パリ原則に適合した国内人権機関の設置

パリ原則に準じた国内人権機関の設置を求めます。「指導原則」にもあるように、救済へのアクセスとして国内に独立した人権機関があることは人権侵害に対処するために必須です。

6.市民社会を含めたステークホルダーとのエンゲージメント

企業には各ステークホルダーとのエンゲージメントが求められていますが、「誰一人取り残さない」社会の実現の為 には市民社会組織との対話が不可欠です。脆弱性の高い人々の声を汲み取り、円卓会議を含めた様々な話し合 いの場を設け、必要な議論が尽くされることでより高いレベルで政府と企業、市民社会を含むステークホルダーと のエンゲージメントを強化することを求めます。

ビジネスと人権市民社会プラットフォーム(BHRC)https://www.bhr-nap-cspf.org/