2022.10.25

025 国際会議の取材事情

海外で各国政府が参加する国際会議がどのように取材されているか、ご存じだろうか。

私自身が記者として取材した経験に基づくものとして読んでいただきたいと思うが、だいたいが「間接的」な情報を組み立てることになる。協議の現場で、話し合われていることを直接聞くことはできないからだ。

多国間協議、二国間協議、いずれの場合も政府高官が参加するレベルになると、日本から担当の記者が出張してくることが多い。出張組の記者が多い場合、日本政府の担当省庁は「プレスセンター」を設ける。日本から来た記者たちはこのプレスセンターで会議が終わるのを待つ。会議が終わると、当事者である大臣や省庁の担当者が内容を記者たちに説明する。それが報道される内容の基礎となる。

確かに首相や大臣の記者会見は、現場にいた当事者から聞く一次情報である。とはいえ、記者たちが協議の場にいたわけではないから、その意味では間接的だ。

もちろん、日本政府からの説明だけで記事が出来上がるわけではない。参加した他国の情報などを集めて、日本政府の説明を検証することも可能な限り行う。ただ、会議場に記者が入れない以上、どこまでいっても間接的な情報を組み立てるしか方法はない。

たいていの政府間国際会議は、こうして間接的な情報を組み立てて伝えられる。それはすべて当事者たちが「伝えたい」と思って発信された内容だ。だから記者たちが、たとえ間接的であっても発信者の意図を超えて実際に話し合われた内容に少しでも迫るためには、良質な質問をして引き出すしかない。

質問の場は実は記者会見場に限ることはなく、あとでこっそり聞き出したりすることもある。どれだけ聞き出せるかは、扱うテーマに対する記者自身の勉強の深さ、情報源との人間関係など様々な要素がからむ。いずれにしても、「質問を超える答えはない」。これは最近、ある人から聞いた言葉であるが、まさに記者の仕事は「質問力」に尽きるといえるのだ。

当事者たちの言いたいことだけが伝わる報道か、当事者には都合が悪いと思われる側面もとらえた報道か。記事や番組の裏で、どれだけ記者が汗をかいているかは、おのずと受け手に伝わる。「たった10行の記事でも、汗をかいて取材しろ」と言った先輩記者の言葉が忘れられない。

(ウィークリーコラムは個人の見解に基づく記事であり、THINK Lobbyの見解を示すものではありません)