2022.06.27

008 G7首脳に市民社会の声を届けよう 広島サミットに向けたC7の取り組み

2023年の主要国会議、いわゆるG7サミットの開催地が広島になることが発表されました。G7の議長を務める岸田文雄首相の出身地であり、ロシアによるウクライナへの核攻撃の示唆が世界を震撼させるなか「核なき世界の実現」に向けた機運を高めることも、広島が選ばれた理由です。

G7サミットは、カナダ、フランス、ドイツ、イギリス、イタリア、日本、アメリカからなる非公式の政治フォーラムです。経済・貿易・環境・保健・人道・デジタル化などの世界的な問題を議論し、意思決定の調整を行います。2022年の議長国はドイツが務め、6月26日から28日にかけて、ドイツ南部エルマウで首脳会合が開催されています。

G7議長国として不可欠なことは、首脳間の議論だけを行うではなく、社会におけるさまざまな関係者、いわゆる「エンゲージメントグループ」と対話することです。この対話には長い伝統があり、G7のプロセスに広く社会の関係者を積極的に参加させる役割を担っています。

エンゲージメントグループは、自律的かつ独立的に組織されており、それぞれのリーダーシップは議長国の非政府代表によって担われます。この代表者は、G7議長国によって任命されます。各エンゲージメントグループは、独自の作業プロセスを経て、G7の議題に関する政策提言書を作成し、首脳会合開催に先立ちG7議長国に提出します。

*現在のエンゲージメントグループ一覧

B7:ビジネス・コミュニティ(Business 7)

C7:市民社会組織(Civil 7)

L7:労働組合(Labour 7)

S7:科学(Science 7)

T7:シンクタンク(Think 7)

W7:女性(Women 7)

Y7:若者(Youth 7)

このうち、C7は、世界中の市民社会組織が参加するプラットフォームです。その目的は、G7サミットの決定に市民社会の意向が含まれるよう政策提言を行うことです。G7諸国以外の市民社会組織、とりわけ「グローバルサウス(南半球)」の市民社会組織の関心事も取り上げます。

  1. 気候・環境の正義(Climate and Environmental Justice)
  2. 経済正義と変革(Economic Justice and Transformation)
  3. 国際保健(Global Health)
  4. 人道支援と紛争(Humanitarian Assistance and Conflict)
  5. 開かれた社会(市民社会スペース)(Open Societies)

この政策提言書は、2022年5月4日・5日にベルリンで開催された「C7サミット」において、G7議長を務めるショルツ首相に手渡されました。日本語版は2022年7月に完成予定です。

C7サミットに登壇したショルツ首相は「公平な世界に向けた前進は、G7議長国であるドイツが掲げる見出しです。この目標は共にしか達成できないものであり、サミットの準備に市民社会が参加することが議長国としての重要な柱です。G7は、自由で民主的な価値観と願望を基盤とする強力な同盟であり、民主主義には活発な市民社会が必要です。特にこの時代において、あなたたちが必要なのです!」と述べました。

この5月、G7広島サミットに向けて

G7市民社会コアリション2023

が設立されました。G7サミット首脳会合および関連閣僚会合に、市民社会の声が反映され、2030アジェンダが掲げる「誰ひとり取り残さない社会」の実現に貢献できるよう、議長国である日本政府を含むG7各国政府に働きかけることを目的としています。本稿執筆時点での76の団体会員、19名の個人会員が参加し、14の幹事団体によって運営されています。JANICは、SDGs市民社会ネットワークとともに共同事務局を務めています。今後、会員同士の学び合いや日本政府との対話を経て、来年のC7の準備を担います。7月には設立記念イベントを開催しますので、ぜひ多くの方にご参加いただければと思います。

G7市民社会コアリション2023設立記念イベント

「G7広島サミットに向けて:変革の時代における市民社会の提言」

■日時:2022年7月8日(金)10:30-12:00

■形式:Zoomを用いたオンライン開催

■申込:https://bit.ly/220708_G7_CSO

■詳細:https://g7-cso-coalition-japan-2023.mystrikingly.com/blog/220708-launching-event/