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2023年10月17日(火)

【緊急声明】パレスチナ・イスラエル紛争激化に対する緊急声明

提言

THINK lobby

THINK Lobbyの母体である特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)は10月13日、「パレスチナ・イスラエル紛争激化に対する緊急声明」を発表しました。

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パレスチナ・イスラエル紛争激化に対する緊急声明

2023年10月13日
特定非営利活動法人国際協力NGOセンター
事務局長 水澤恵

10月7日以降、パレスチナ・ガザ地区を実効支配する政治組織(ハマス)とイスラエル国防軍の衝突・交戦が激化しています。報道によると、13日現在、双方合わせて2,800人以上が死亡、10,400人以上が負傷しています。ハマスは大規模攻撃を繰り返し、イスラエル国防軍はガザ地区への空爆を実施、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争状態」を宣言しました。

パレスチナとイスラエルの二国家共存を目指す「オスロ合意」から今年で30年になります。私たちは、ハマスとイスラエル双方に対し、この合意に立ち戻り、武力攻撃の即時停止を求めます。紛争で真っ先に犠牲になるのは政治家や軍人ではなく、その地に暮らす人々です。ハマスとイスラエル双方の政治的指導者は、人命尊重という基本原則を改めて思い起こし、病院や道路などのインフラへの攻撃や電力・水道の遮断、燃料や食料供給の停止など、人々の生命を維持する活動を妨げる人道に反する行為をただちに中止し、武力紛争の即時停止と対話による平和的解決に向けた努力を続けるべきです。

私たち市民社会組織(CSO)は、世界の人々が紛争や貧困・飢餓などのあらゆる恐怖から逃れ、人間らしい生活を送ることができることを願って、開発協力事業や緊急人道支援に取り組んでいます。紛争は、教育や保健、水・衛生、ジェンダー平等、農地開拓などの開発の恩恵を一瞬にして後退させてしまいます。

長い歴史的背景を持つパレスチナとイスラエルの領土問題は、帝国による植民地支配の残滓ともいうべき「現代的課題」です。加えて、「天井のない監獄」と言われるパレスチナ・ガザ地区の封鎖は15年以上にも及び、非人道的な状態を放置してきた国際社会にも大きな責任があります。今回の武力攻撃以前からも暴力の連鎖は継続してきており、これが国際社会の分断を引き起こし、差別・偏見・憎悪の渦に人々を巻き込んでいくことを憂慮します。私たちは、攻撃によって被害を受け続けてきた人々への連帯を表明します。

国際連合憲章の前文では、「寛容を実行し、且つ、善良な隣人として互に平和に生活し、国際の平和及び安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合を除く外は武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、すべての人民の経済的及び社会的発達を促進する」旨が宣言されています。国連のすべての加盟国は、この憲章に記された共存・非暴力・発展を実現すべく、あらゆる手段を尽くすべきです。また、国連安全保障理事会はリーダーシップを発揮し、停戦合意に至るまでハマスとイスラエル双方との対話を主導すべきです。その際、国際人道法を完全に尊重した民間人と保健・救急従事者の保護、および、民間人が攻撃された地域への人道的アクセスを尊重すべきです。

日本政府は、2023年より2年間、国連安全保障理事会の非常任理事国に選出されており、また、主要国首脳会議の議長として、5月にG7広島サミットを開催しました。G7広島首脳コミュニケでは、「我々は、イスラエル人及びパレスチナ人に対して、二国家解決の実現に向け、信頼を構築するための措置を採ることを求める。そのために、全ての当事者は、入植活動や暴力の扇動を含む一方的な行為を控えなければならない。我々は、歴史的なエルサレムにおける現状への我々の支持を改めて表明する。我々は、エジプト、イスラエル、ヨルダン、パレスチナ自治政府、及び米国との間の最近の諸会合を歓迎し、彼らのコミットメントが真摯に履行されることを期待する。我々は、パレスチナ人の経済的自立及び国連パレスチナ難民救済事業機関への支援を継続する」ことが合意されています。

私たちは、日本政府に対し、G7議長として、自らの首脳コミュニケでの宣言を踏まえ、G7各国と協力し、ハマス・イスラエル双方に対し武力紛争の即時停止を呼びかけ、人道支援の継続を主導するよう強く求めます。特に、パレスチナ・ガザ地区へのライフラインの供給継続、市民の救援のための人道的停戦をハマス・イスラエル双方が受け入れるよう働きかける外交努力を求めます。

本件に関するお問い合わせ
特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)
若林・堀内
janic-advocacy@janic.org