設立趣意

市民が自由に活動できる空間を広げ、
社会をより良く変えたいという
市民の願いを形にします

わたしたちが考える市民とは

あなたは、日常で起きる出来事を「変えたい」と思ったことがありますか。

身の回りで、あるいは地域社会で、もっと広く世界で、あなたが目にするさまざまな出来事を、より良く変えたいと願うこと。
わたしたちは、それが市民としての第一歩だと考えます。

市民を定義すれば、「近代社会を構成する、自由で独立した一員であり、政治参加の主体者」ということができます。このような市民が、直接政治に参加することで社会がつくられていくことが望ましい形です。

しかし、議会制民主主義が発展し、行政官僚による政策立案の機能分化が進み、市民は政治や政策からどんどん離れ、選挙を通じた行動のほかは、主に自由な経済活動を担うようになりました。このことが、第二次大戦後の高度成長を支え、日本を経済大国にし、国民の生活を豊かにしたという見方もできますが、「忘れてきたもの」も少なくありません。

市民と政治や政策が離れていく間に、民主主義を支える基本的人権の尊重や、参加型の意思決定、情報公開などがないがしろにされていきました。その間にも、国内では経済成長が鈍化し、人口が減り、高齢化社会が訪れ、所得低減や非正規雇用の増大、財政赤字の悪化などの問題が深刻化しました。国際社会に目を転じても、民主主義や人権を否定する動き、それによる貧困や経済格差の拡大、暴力や紛争の多発など、さまざまな課題が山積しています。こうした社会状況のなかで、「自由で独立した、尊厳を持つ人間」としての市民一人ひとりが、本来の力を発揮できる「スペース」が狭まりつつあります。

これまで、多様な社会のニーズに応えるために、行政が事業を拡大させたり、企業や多くの起業家が新しいビジネスモデルを開発・発展させてきました。しかし、行政や市場原理により取りこぼされたニーズは、社会課題として存在しています。このような社会課題の解決には、市民によるソーシャルセクターが従来より熱心に取り組んでいますが、まだまだ不十分と言わざるを得ません。

このような状況に立ち向かうために、ソーシャルセクターで活躍する市民社会組織が集うJANICが蓄積してきた知見や経験、ネットワークを活かしてできること。それは、様々な課題への個々の解決策を、より広く大きく社会に拡げていくために、市民の「政策起業力」を育むことです。社会の課題を解決するための政策のあり方について、市民が、的確な情報とデータを得て検証・分析し、多種多様なステークホルダー(関係者)の声やアイデアを盛り込み、政府や社会に広く提案する力です。

市民としての第一歩が「社会をより良く変えたいと願うこと」であるならば、次の一歩は、「その願いを形にすること」です。そのためには、小さな声やバラバラな声をつなぎ合わせること、さらに、社会を構成するさまざまな組織と連携することが必要でしょう。政府、企業、大学・研究機関、労働組合、自治体、市民団体などと連携し、身の回りの課題を浮かび上がらせ、共に学び、考え、行動することで、あなたの思いが形になるのです。

THINK Lobbyが「みんなでつくる市民社会のシンクタンク」と掲げたのは、市民である「あなた」と共に学び、考え、行動したいと考えるからです。

どこにも属さないひとりのあなた、組織の一員としてのあなた、地球の構成員としてのあなた。どのような立場であっても、「より良く変えたい」と願う人たちが集い、意見を交わし、行動するロビー(場)をつくります。