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2023年09月26日(火)

Asia Centre主催「アジアにおける選挙と民主主義国際会議」に参加

連携

THINK lobby

タイを拠点とする研究機関「アジアセンター(Asia Centre)」は8月23日から25日にかけて、バンコクで「アジアにおける選挙と民主主義国際会議」を開催しました。アジアセンターとして8回目となるこの国際会議に、JANICの重田康博・政策アドバイザーと、THINK Lobbyの芳賀朝子マネージャーが登壇しました。また、この機会にJANICはAsia Centreとの間で共同事業を実施する覚書(MoU)を締結しました。

JANICとAsia Centreはともに、国連の特殊諮問資格(Special Consultative Status)を持つ市民社会組織および研究機関です。Asia Centreは、市民社会や民主主義の動向について、調査や人材育成、アドボカシー活動などを実施しています。

今回の会議では、東南アジアや南アジア、さらに日本における選挙と民主主義をめぐる様々な21の課題を討議しました。登壇者は研究者、NGO関係者など多彩な専門分野から、20カ国の130人以上が参加。内容も、総選挙が実施されたばかりのタイ、カンボジアや、クーデターにより国軍が実権を握っているミャンマー、半世紀にわたる紛争から自治への道を歩み始めたフィリピン・ミンダナオなど、まさに今、刻々と変化するアジアの民主化と市民社会をめぐる状況が語られました。

 

選挙におけるオンラインプラットフォームの役割ーーTHINK Lobby 重田・政策アドバイザー

JANICの重田康博・政策アドバイザーが登壇したのは、パネル3の「選挙におけるオンラインプラットフォームの役割」。この中で重田・政策アドバイザーは、「日本における選挙と市民社会スペース」と題して、日本の市民社会スペースが縮小傾向にあることや日本の選挙の問題点を述べました。「日本のソーシャル・キャピタルの縮小は、日本の市民社会の政治参加への意思を減少させる政治的な危機である」と指摘し、「オンライン」が市民社会スペースの拡大に果たす役割を考察しました。

また、日本ではこれまでに、例えば、若い世代がSNSを活用して政治参加をした動きとして、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長の辞任を求める運動や、20代や30代の女性に公職に立候補することの呼びかけや被選挙権の年齢を引き下げるためのプロジェクトなどがあったことを紹介しました。

ジェンダー平等と政治参加ーーTHINK Lobby 芳賀マネージャー

THINK Lobbyの芳賀朝子マネージャーは、パネル21の「民主的な政治参加をめぐる声を大きくするために:日本、ミャンマー、フィリピンの経験から」で登壇しました。

芳賀マネージャーは、「日本の民主主義と選挙におけるジェンダーギャップ」と題して、女性の政治参加を妨げる要因などについて話しました。また、イギリスの調査機関Economist Intelligence Unit (EIU)の民主主義指数でも、日本は民主主義国家としてランキング上位に位置していながら、「政治参加」という指標でみると他の民主主義国家よりも格段に低い位置にあるが、その背景には日本における深刻なジェンダーギャップがあると指摘しました。「グローバル・ジェンダーギャップ報告2023」によれば、日本の順位は146カ国中125位、そのうち政治分野にいたっては138位という低さです。

さらに、新聞の世論調査を引用しながら、女性が思う女性の政治家が少ない理由として、すべての年代で「政治は男性のもの」「女性に対する差別やハラスメントがある」「女性が家庭で担う役割が大きい」が挙げられていることを紹介しました。日本のこうした傾向は、民主主義国であっても「ジェンダー平等」が保障されなければ女性は活躍できないことを示しています。したがって、市民社会は効果的に連帯して、政府にジェンダー平等に関する政策提言を行う必要があるとし、G7の公式エンゲージメントグループの一つであるWomen7が、本年5月に日本で開催されたサミットに向けて実施したアドボカシー活動とその成果について紹介しました。

市民社会シンクタンクとしての連携強化

また、8月24日には、JANICとAsia Centreによる覚書調印式が行われました。覚書は、両者が協力する分野として、政策提言や国連への提出文書作成のための調査を実施すること、セミナーやワークショップなどの開催などを挙げています。

THINK Lobbyと同じ市民社会シンクタンクであるAsia Centreとの連携により、今後は、東南アジア地域の実情を、同じ市民社会の視点から深く洞察した質の高い調査研究事業を実施したり、日本と東南アジア諸国の市民社会同士をつなぐ様々な場を共に作り上げていきます。