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2024年09月03日(火)

これが援助のあるべき姿なのか?2023年における政府開発援助の批判的分析(EURODAD報告書)

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堀内葵

民主的に管理され、ジェンダーに公正で人権に基づいた財政・経済システムを提唱する市民社会ネットワークである「債務と開発に関する欧州ネットワーク(European Network on Debt and Development / EURODAD)」は、2024年6月に『これが援助のあるべき姿なのか?2023年における政府開発援助の批判的分析(原題:Is this what aid was meant to be?: A critical analysis of Official Development Assistance in 2023)』という報告書を発表し、2023年の世界的なODAの減少傾向を分析しています。

日本は27億5,000万ドル増加し、二国間援助および国際開発金融機関への拠出で15.6%増額した、と報告されています。

本報告書のダウンロードはこちら。

英語:Read the report in English

フランス語:Lire le rapport en français

スペイン語:Lee el informe en español

<概要>

2023年の援助データからは、政府開発援助(ODA)の方向性が疑問視されています。さらに心配なことに、一部の富裕国はすでに2024年の予算削減を発表しています。本報告書は、ODAの価値がかつてないほど重要視されている今、議論と討論の基礎を提供するものです。

2023年、世界の多くの地域で紛争と飢饉が発生し、国際的な持続可能な開発アジェンダの資金調達に必要な資源が大きな圧力にさらされました。こうした中、政府開発援助(ODA)は、前年の2,110億米ドルから2,237億米ドルに増加し、過去最高を記録しました。しかし、この記録的な数字は、富裕国間の援助予算と配分の大きな変動を覆い隠しています。

実際のところ、経済協力開発機構(OECD)開発援助委員会(DAC)加盟メンバーの半数以上からのODAは2023年に減少し、その中にはドイツやフランスといった大手の援助国も含まれています。DACに加盟するEU諸国からの援助は、合計で実質7.7%減少しました。さらに、豊かな国々が自国で使用した「ドナー内難民費用(in-donor refugee costs)」は310億米ドル(ODAのほぼ14%)であり、これは過去2番目に高い金額です。

本ブリーフィングでは、ODAと開発資金の将来を形作る上で、特に重要であると思われる5つの分野に焦点を当てています。

1. 今後の政治日程とODAへの影響
2.2024年に発表されるODA予算の削減は、援助支出の大きな後退を示唆
3.未達成のコミットメントを「援助債務」に転換すること
4.援助における地政学と外交政策の役割
5.援助のグローバル・ガバナンスを再考する理由と機会

 

<参考>

【声明】2023年のODA速報値に対する市民社会共同声明
https://thinklobby.org/20240415_oda_data_2023_cso_statement/
外務省:2022年の各国ODA実績(暫定値)の公表(2023年4月13日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_001426.html
外務省:2023年の各国ODA実績(暫定値)の公表(2024年4月12日)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press1_001634.html

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堀内葵