2025年01月28日(火)
【情報提供】米国政府による「対外援助の再審査と再編成」およびNGOの反応
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報道の通り、1月20日に就任したドナルド・トランプ米国大統領が「対外援助の再審査と再編成」という大統領令を布告し、米国による対外援助を90日間停止し、その間に審査を進め、米国の利益に沿った形に再編成することを発表しました。
https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/01/reevaluating-and-realigning-united-states-foreign-aid/
本件について、開発協力に取り組む米国NGOのネットワークである「インターアクション(InterAction)」が1月25日付で声明を発表しました。援助業務の停止は、乳幼児への清潔な水、子どもたちへの基礎教育、少女の人身売買の根絶、病気に苦しむ子どもやその他の人々への薬の提供など、生命を救う重要な活動を中断することを意味とし、数百万人の生命を維持するためのプログラムを継続すべき、と指摘しています。
https://www.interaction.org/statement/interaction-statement-on-stop-work-order-issued-by-the-state-department/
また、貧困・格差・気候変動・予防可能な病気などについて米国を含む世界中でキャンペーンを行っている「ワン(ONE)」は、1月25日付で「対外援助の一時停止は米国の世界的リーダーシップを危うくする」と題する声明を発表し、「世界中の緊急援助や人命救助プログラムに直接影響を与える業務停止命令の報道を非常に懸念している。サービスの中断は、生死にかかわる事態を招きかねない」「アフリカは受動的に援助を受けるのではなく、米国とアフリカのために、より健康で安全な未来を築くパートナーである」という同団体の北米地域やアフリカ地域代表の発言を紹介しています。
https://www.one.org/us/press/foreign-assistance-pause-jeopardizes-us-global-leadership/
人道支援を行う団体のグローバルなネットワークであるICVAは、1月27日付で事務局長による声明を発表し、「水や衛生設備、保健医療など、他の必需品と一緒に提供されなければ効果を発揮しない緊急食料援助の例外を考慮しても、90日間の停止は、世界中の暴力や紛争の危険にさらされている脆弱な人々や地域社会にとって、広範囲に影響を及ぼす重要な人道支援を中断させるものである」「この決定はNGOにとっても重大な意味を持つ。多くの国際NGOやローカルNGOは、最も厳しい環境での活動を遂行するために、USAIDの資金に大きく依存している」と指摘しています。
https://www.icvanetwork.org/90-day-suspension-orders/
JANIC正会員のアフリカ日本協議会は、1月27日付で「米国、対外援助の殆どを最短90日間停止 レビューの上、『米国の外交政策』に沿う形で『再編成』 米国の対外援助の殆どを最短90日停止する命令」と題するブログ記事を掲載し、特に国際保健分野への影響について解説されていますので、併せてご紹介いたします。
https://ajf.gr.jp/covid19_27jan2025/
米「インターアクション(InterAction)」の声明については、下記翻訳もご参照ください。
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国務省による業務停止命令に関するインターアクション声明
(InterAction Statement on Stop-Work Order Issued by the State Department)
https://www.interaction.org/statement/interaction-statement-on-stop-work-order-issued-by-the-state-department/
2025年1月25日
ワシントン D.C.-国際的な非政府組織(NGO)とパートナーからなる米国の主要な連合体である「インターアクション(InterAction)」は、国務省が出した業務停止命令に対し、以下の声明を発表した。
米国の人道支援・開発団体は、米国市民の寛大な心や米国政府とのパートナーシップを原動力に、人命を救い、米国の利益を世界的に促進するために、たゆまぬ努力を続けている。
最近の国務省からの業務停止通告は、米国のグローバル・リーダーシップを支えるプログラムを停止し、中国や敵対国がすぐに埋められる危険な空白を作るものである。この停止は、乳幼児への清潔な水水、子どもたちへの基礎教育、少女の人身売買の根絶、病気に苦しむ子どもや人々への薬の提供など、生命を救う重要な活動を中断するものである。台湾、シリア、パキスタンなど、米国の利益にとって重要な国々への支援も停止される。そして、HIVに感染していない赤ちゃんが生まれるよう支援する、PEPFAR(訳註:米国大統領エイズ救済緊急計画)を通じた数十年にわたる救命活動も停止される。
大統領が命じた対外援助の見直しは、既存のプログラム、特に数百万人が生き延びるために必要なプログラムを中断させることなく、進められるべきである。この中断は、時間と資金の面で高コストであり、世界における米国の影響力は回復不可能なものとなる。
私たちはルビオ国務長官と政府に対し、わが国の世界的なリーダーシップと価値を維持するため、対外援助見直しプロセスにおいても、生命を救うという米国の重要な活動を継続するよう求める。
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インターアクションは、極度の貧困を根絶し、脆弱な立場にある子どもたちや家族を守り、命を救うために活動するNGOのとりまとめ役であり、オピニオンリーダーであり、代弁者である。インターアクションのメンバーは、米国市民の寛大な心や米国政府とのパートナーシップを原動力に、人命を救い、米国の利益を世界的に促進するために、たゆまぬ努力を続けている。
メディアからのお問い合わせは、ミッチ・マクウェート(Mitch McQuate) mmcquate@interaction.org または (202) 403-7253まで。
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