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2024年03月04日(月)

【参加報告】第11回国連持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)

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堀内葵(THINK Lobby副所長)

アジア太平洋地域の各国が集まり、SDGsの進捗状況について議論する「第11回持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)」が2月20日から23日にかけて、バンコクで開かれました。この会議の成果が、7月に国連本部で開催される「ハイレベル政治フォーラム(HLPF)」に報告され、グローバルレベルでの進捗が議論されます。HLPFでは各国がVNR(voluntary local review)と呼ばれる「自発的国家レビュー」を発表し、SDGsの進捗を報告します。

各国政府に混じって、メジャーグループおよびその他のステークホルダー(MGoS)と呼ばれる非政府主体(non-state actors)も発言する機会があり、私が参加していたセッションでは、市民社会、若者、地方自治体、LGBTIステークホルダーグループ、先住民などのグループが、市民社会の意味ある参加、疎外された人々への補償と差別の是正、障害を含む階層化されたデータの整備、マルチステークホルダー参画などを提言していました。

日本政府代表の発言(動画内の2:20:34ごろから)は、過去のVNR発表の経緯、SDGs推進円卓会議やSDGs実施指針の改定など、プロセス面が中心であり、現在のSDGs実施についてどのような課題があり、今後どのように対処していくのかという具体的な話は欠けていたと感じました。地方自治体によるSDGsレビューであるVLRについて言及していたのは良かったと思います(写真下)

その直前に発言した東ティモールは、開発途上国および島嶼国として、貧困・栄養不良・不安的な食料供給・不平等・気候変動などの社会的・経済的な開発課題を抱えていることを表明しつつ、VNRを国家戦略開発計画と整合性を持たせ、優先度を決めて政策と予算配分を検討し、モニタリングと評価の機会およびギャップや課題を分析をすることに役立った、と発言していたのが印象的でした。

APFSDにあわせて、アジア太平洋地域全体のSDGsの進捗報告書が発表されています。

Asia and the Pacific SDG progress report 2024 : showcasing transformative actions

また、APFSDに先立ち、市民社会フォーラムが開かれ、“Advancing a Peoples’ Agenda for Development Justice”: Summary of Civil Society Recommendations for the APFSDという成果文書も発表されています。

また、国連会議センター内で開かれた「国連未来サミット」関連のサイドイベントにも参加しました。GCAP、APSDなど、市民社会のネットワークが主催しています。

UNESCAP事務局次長(Deputy Executive Secretary for Programme)のLin Yang氏が基調講演を行い、未来サミットは過去の会合での成果を踏まえて、多世代間(inter-generational)でのパートナーシップを促進すべくファシリテーター役を務めていること、連帯(solidarity)や公正(equity)が重要であること、2025年の開発資金会議や2026年の社会サミットなど今後もプロセスは続いていくこと、などが紹介されました。その後は市民社会関係者による発言が続き、5月か6月にはアジア太平洋地域での市民社会コンサルテーションを予定している、とのことです(写真下)。

同日夜にバンコク市内のホテルで開催されたサイドイベント「Bangkok Future Forum on the 2024 UN Summit of the Future (SOTF)」では、APSD地域コーディネーターを務めるアンセルモ・リーさんのリードで、今年9月に開催される国連未来サミット(Summit of the Future)への市民社会参画について、現状と課題、今後のプロセスについて議論しました。国連未来サミットの成果文書である「Pact of the Future」は、ゼロドラフトが1月26日に公開され、2月12日までに文書でのコメント受付、2月21日にはオンラインでのコンサルテーションが開催されました。5月にはケニア・ナイロビで未来サミットに焦点を当てた「国連市民社会会議(UN Civil Society Conference)」が開催予定です。