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2024年03月12日(火)

【開催報告】第5回東京民主主義フォーラム(TDF)開かれる  アジア各国のCSOリーダーと対話

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THINK Lobby

特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)/ THINK Lobbyは3月6日、オンラインで「第5回東京民主主義フォーラム(TDF)-アジアにおいて民主主義と市民社会スペースを守る(DDCSA)-」を開催しました。

今回のTDFでは、「市民社会スペースと権利保有者(気候活動家、有権者)」、「市民社会スペースと責任あるビジネス」、「2024年の国際的な働きかけのさらなる機会」の3つのテーマでスピーカーを迎え、討論が行われました。

「市民社会スペースと権利保有者(気候活動家、有権者)」では、まず、アジアセンター(Asia Centre)の調査マネージャーであるマルク・ピニョル・ロヴィラ氏が、カンボジアで2023年に実施された国民議会選挙を中心に分析し、同国の選挙が、野党勢力へのいやがらせ、表現や言論の自由の制限、中国との関係など複数の点から、「自由で公正な選挙」とは言えない状態であることを指摘しました。続いてパキスタン開発連盟(Pakistan Development Alliance)代表のジア・ウル・レーマン氏が、パキスタンで今年2月に実施された連邦下院選挙について、その過程において様々な問題が起き、結果が改ざんされたという指摘もある、と説明。しかし、混乱の中でも、若い有権者が比較的多く投票したことや、女性議員が選出されたことなど、前向きな動きもあった、と述べました。
人権・環境・開発のための国際研究所(INHURED International)の理事長であるゴパール・クリシュナ・シワコティ氏は、気候変動への国際社会の取り組みを分析しながら、「気候変動は地球規模の課題であり、とても早く事態が悪化している。その影響を受けるのは途上国だ。損失と損害に対応する資金措置などの具体的な対策は始まっているが、気候難民の増加などさまざまな課題が発生している」と指摘。各国で気候変動を政治課題として重視する必要がある、と述べました。

2つ目のセッション、「市民社会スペースと責任あるビジネス」では、インド自発的行動ネットワーク(Voluntary Action Network India)のハーシュ・ジャイトゥリ氏が、新型コロナウイルス感染拡大時の経験を一例として、民間セクターと市民社会とが必要な時に協力することで課題解決に取り組むことができる、と指摘しました。「市民社会スペースの確立は、産業セクターにも影響する。相互理解がとても重要だ」として、お互いが既成概念ではなく、それぞれのリソースを再評価しながら、向き合うことが大事だ、と語りました。
ネパールNGO連盟(NGO Federation of Nepal)事務局長のアルジュン・バッタライ氏は、ネパールでのビジネスと人権の進捗状況について、政府の行動計画を採り上げ、市民社会組織との対話や協力の呼びかけが足りない、と指摘し、協働していく姿勢がみられない、と述べました。
モンゴルの人権と開発センター(Centre for Human Rights and Development)代表であるウランソージ・ゴンボスレン氏は、モンゴル政府が2023年に2027年までのビジネスと人権に関する行動計画を打ち出したことに伴い、その進捗をモニターするための調査に取り組んでいることを報告しました。昨年末には、ビジネスと人権の状況を把握するためのアンケートを実施。労働時間や賃金が契約書に記載されていない、残業代を受け取っていない、契約すらしていないなどの現状が浮き彫りになった、としています。

最後のセッションでは、持続可能な開発に向けたアジア市民社会パートナーシップ(Asia Civil Society Partnership for Sustainable Development)、C20国際アドバイザー、Peoples 20 plus共同運営者のアンセルモ・リー氏と、アジア開発連盟(Asia Development Alliance)の地域コーディネーターであるジョツナ・モハン氏をスピーカーに迎え、持続可能な開発に関するアジア太平洋フォーラム(APFSD)、ハイレベル政治フォーラム(HLPF)、国連未来サミット(SOTF)、G7/G20/BRICSサミットなど国際的な会合において、市民社会組織がどのような仕組みを作り、働きかけをしているのか、そしてこれからどのように働きかけることが必要なのか、が話し合われました。
フォーラムの最後に、JANIC理事でTHINK Lobby所長の若林秀樹は、「市民社会組織が、限られたキャパシティの中で、数々の国際会議でのチャンスを生かして成果を出すためには、いくつかのイニシアチブに集中する必要がある。また、よりよい社会を構築するために、ビジネスセクターとの協力が欠かせない」と、指摘しました。そして、「このフォーラムの目的は、民主主義を促進することだが、残念ながら私たちはまだ目的を達成していない。しかし、今アジアで直面している困難に挑戦するため、この活動を続けていきたい」と、決意を述べました。

※このフォーラムの様子は以下の動画でご覧いただけます(英語のみ)。