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2024年09月02日(月)

【参加報告】Asia Centre主催国際会議「アジアにおいて縮小する市民社会スペース:抵抗と反撃の語り」

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堀内葵

2024年8月21日から23日にかけて、タイ・バンコクで開催された国際会議「アジアにおいて縮小する市民社会スペース:抵抗と反撃の語り(Shrinking Civic Space in Asia: Stories of Resistance and Pushback)」に参加し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対処と市民社会スペースに関するパネルに登壇しました。

本国際会議はバンコクに主たる事務所を構える非営利シンクタンクのAsia Centreが主催し、JANICは2022年より参加しています。2023年にはAsia CentreとJANICの間で業務提携を結ぶ覚書を交わしました。過去の参加報告はTHINK Lobbyジャーナルやウェブサイトで公開しています。

■報告記事 第7回国際会議:アジアにおける表現の自由に参加して(重田康博)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/thinklobbyjournal/1/0/1_71/_article/-char/ja/
■Asia Centre主催「アジアにおける選挙と民主主義国際会議」に参加 2023年09月26日(火)
https://thinklobby.org/2023_asia_centre_8th_international_conference/

今年、私が登壇したパネルでは、台湾、韓国、ニュージーランド、日本でのコロナ対応を踏まえて、移動の自由や知る権利など、市民社会スペースをできるだけ制限しないようなガバナンスはどのようにすれば可能か、という問いを中心に議論しました。政府と市民社会のコミュニケーションや連携を進めつつ、次のパンデミックに備えて過去の教訓に学ぶことの重要性が指摘されました。本パネルを主催したのは、ICNL(The International Center for Not-for-Profit Law)という、世界各国での市民社会に関する法制度について研究し、市民社会スペースを広げるための取り組みを行っている団体です。ICNLがAsia Centreと協力して作成した報告書Pandemic Governance & Civic Freedoms: Best Practices from Japan」では、課題はありつつも、日本政府は適切なコミュニケーションを行い、他国と比べて制裁を伴う強硬なロックダウンではなく「依頼(request)」ベースで感染を抑えた、と総括しています。

全体会では、香港から台湾に移住したメディアアーティストによる自由を守るための活動や、台湾の外に住んでいる人向けにインターネットで多言語放送を行なっているRTI(Radio Taiwan International)の取り組みが紹介され、分科会では、先住民の権利、政権与党による野党の弾圧(シンガポール、カンボジア、台湾)、市民社会の資金アクセス向上、フェイクニュースと民主主義、デジタルセキュリティ、市民社会スペース向上に向けたワークショップなど、幅広いテーマが扱われました。8月5日に政権が崩壊したバングラデシュにおいて、学生と一般の人々がどのように立ち上がったのかをバングラデシュリベラルアーツ大学(ULAB)の教員が報告するセッションも開催されました。

Asia Centreのウェブサイトでも本国際会議について総括報告がなされています。

https://asiacentre.org/9th-international-conference-2024-shrinking-civic-space-in-asia-stories-of-resistance-and-pushback/


来年の国際会議は8月20-22日に「アジアにおけるAI(人工知能)とガバナンス:市民社会、民主主義、メディア」と題して開催されます。
https://asiacentre.org/event/10th-international-conference-ai-and-governance-in-asia-civil-society-democracy-and-media/

執筆者プロフィール

堀内葵