2024年10月15日(火)
【声明】祝「日本被団協」ノーベル平和賞受賞、核兵器廃絶に向けた新たな力に!
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祝「日本被団協」ノーベル平和賞受賞、核兵器廃絶に向けた新たな力に!
特定非営利活動法人 国際協力NGOセンター
事務局長 水澤恵
ノルウェー・ノーベル委員会は10月11日、2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与することを発表しました。授賞理由については、「核兵器のない世界の実現に尽力し、核兵器が二度と使われてはならないことを証言により示してきた」としています。
日本のノーベル平和賞受賞は、非核三原則を表明した佐藤栄作元総理大臣が1974年に受賞して以来、50年ぶりです。改めてこれまでの日本被団協の活動に敬意と祝意を表し、核兵器廃絶に取り組んできた被爆者およびすべての関係者の皆様に心からお祝い申し上げます。
ノーベル委員会は、これまでも核兵器廃絶の取り組みを後押しするかのように、2009年「核なき世界」を訴えた米国のバラク・オバマ元大統領、17年には、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に平和賞を授与してきました。
しかしながら核兵器廃絶に向けた取り組みは遅々として進んでいません。現時点でも、世界には1万2,000発を超える核兵器が存在し、その9割近くを米露が占めています。またロシアは、公然と核兵器を使用するという脅しをかけています。北朝鮮も、核開発の歩みを止めることなく、東アジア地域への脅威となっています。中東では、核保有国であるイスラエルが、核開発を進めるイランと戦火を交えるなど、中東全体に新たな戦争が広がりかねない状況です。
広島県選出の岸田文雄総理大臣(当時)は、2023年のG7広島サミットで、「核兵器のない世界」を訴え、核軍縮のための「広島ビジョン」をまとめました。しかし日本政府は「核兵器禁止条約」に批准しておらず、締約国会議にオブザーバー参加さえしていません。核軍縮に向けた日本の説得力は極めて弱いといえます。
日本の市民社会は、2023年のC7サミットにおいて、政策提言書の中で、G7の首脳に対して核兵器廃絶を訴える提言作成にリーダーシップを発揮しました。また2024年9月に開催された「国連未来サミット」でも、核兵器廃絶に向けたイベントを開催し、その成果文書である「未来への協定」についても、核兵器の脅威と使用について国連や日本政府に働きかけ、より強化される内容に導きました。
私たちは、今回の受賞を励みに、核兵器廃絶に向けた取り組み、そして、非戦・不戦の誓いを若い世代に引き継ぎつつ、ともに、さらに強化していかなくてはなりません。授賞理由でも紹介された「アルフレッド・ノーベルの理想の核心は、献身的な個人が変化をもたらすことができるという信念だった」という言葉を忘れず、そして「微力だけど無力ではない」を合言葉に、これからも核廃絶に向けた取り組みを後押ししていきます。
*参考資料:
日本原水爆被害者団体協議会・編「被爆者からあなたに いま伝えたいこと」(岩波ブックレット、2021年)