2024年10月23日(水)
【11/1開催】TIFA地域ウェビナー「アジアにとって気候資金とは何か?東南アジア、東アジア、南アジアからの教訓」
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世界の気温は、気候変動による最も壊滅的な影響を防ぐために設定された、産業革命前の水準から1.5度上昇するという閾値を超えようとしている。しかし、温室効果ガス(GHG)の排出を削減するための世界的な努力は著しく不足している。2030年までに排出量は11%しか削減されないと予測されており、2019年のレベルを半減するという必要な目標をはるかに下回っている。この不足は、特に、温室効果ガス排出量が最も多いだけでなく、気候変動に対して最も脆弱な地域のひとつでもあるアジアのような地域が、世界的な協力を強化する必要性を強調している(IMF, 2024; WMO, 2024)。
2023年に最も災害に見舞われた地域として、アジア太平洋地域は、1961年から1990年の間に見られた速度のほぼ倍増という、加速的な温暖化を経験している。この地域は、2023年に79件の水文気象災害の被害を受け、洪水と暴風雨がその80%以上を占め、2,000人を超える死者と900万人に影響を与えた(WMO, 2024)。気候が温暖化し続けるにつれて、こうした災害の激しさは増すと予想される。特筆すべきは、中国、インド、インドネシアといった主要な排出国が、この地域の温室効果ガス排出量に大きく寄与していることであるが、アジアの地理的・人口学的脆弱性が、気候への適応と緩和の取り組みに対する利害を高めている(IMF, 2024)。
世界の温室効果ガス排出量の約50%を占めるアジア太平洋地域は、世界的な気候変動対策の中心となっている(ADB、2023)。多大な努力にもかかわらず、この地域は膨大な資金ギャップに直面しており、緩和と適応の両方のニーズに対応するために、年間1兆1,000億ドルの投資が必要と推定されている(IMF, 2024)。しかし、このうち3,330億ドルしか調達されておらず、8,150億ドルの重大な資金ギャップを残している。このギャップは、COVID-19パンデミック後の財政枯渇によってさらに悪化し、各国政府は気候変動対策を拡大するために民間セクターの参加を求めざるを得なくなっている(IMF, 2024)。
ADB(2023)によると、2018年から2019年の間に、この地域は少なくとも5,199億ドルを支出し、2019年には30%の融資が増加した。資金源に基づくと、民間部門に比べ、公的部門は依然として気候変動資金全体(68%)の大半を拠出している。これは、民間セクターの資金が公的セクターと同等に貢献している南アジアを除くほとんどのサブ地域でも同様である。緩和分野、特にエネルギー分野におけるこの地域の気候変動資金への取り組みは堅調で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーへの投資が気候緩和資金の大半を占めている。その割合は、同期間に4,725億ドル(91%)に達した。一方、適応資金については、脆弱な地域社会を保護する緊急性があるにもかかわらず、依然として資金不足が深刻で、気候変動資金全体のわずか8%しか占めていない(ADB, 2023)。
他のサブ地域と比較すると、東アジアは依然として気候変動資金の最大の受入国である。東アジアは、気候変動資金総額の約80%を受け入れ、その大部分をエネルギー、運輸、建築・インフラ部門の緩和プロジェクトに充てている。中国のデュアルカーボン目標達成へのコミットメントも、最近の進展の主な原動力となった。気候変動資金の流入先として2番目と3番目に多いのは、それぞれ南アジア(総流入額の9%)と東南アジア(5%)である。気候変動資金は主に、これら2つのサブ地域内のクリーンエネルギー、鉄道システム、総合的な都市公共交通を支援するために流れている(ADB, 2023)。
アジア太平洋地域内における地域レベル、国レベルのダイナミクスは、気候変動資金における最近の進展に重要な役割を果たしている。市民社会の観点からは、この問題に関する地域横断的な知識の共有が不可欠である。同様の状況や戦略は、他の地域や国にとって貴重な教訓となり得るからである。さらに、このような知識交換は、アゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29に向けて、市民社会の理解を深めるのに役立つであろう。このような動きを支援するため、エッセンシャル・サービス改革研究所(the Institute for Essential Services Reform / IESR)は気候緊急協働グループ(Climate Emergency Collaboration Group / CECG)と協力し、東アジア、東南アジア、南アジアの市民社会を集めた地域横断ウェビナーを開催する。
【目的】