2025年04月15日(火)
「C7政策提言書2025」発表
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G7サミットに対する市民社会からの提言をまとめた「C7政策提言書2025」が発表され、オタワで開催されたC7サミット二日目にあたる4月15日(火)に、G7サミット首相個人代表(シェルパ)を務めるシンディ・テルモアシューゼン(Cindy Termorshuizen)カナダ外務次官補(Associate Deputy Minister of Foreign Affairs)に手渡されました。
C7政策提言書2025は以下のリンクからダウンロード可能です。
https://civil7.org/c7-2025-communique-global-justice-together-web.pdf
世界は変曲点にあり、G7は立ち止まっている余裕はない。数十年にわたる国際協力は、世界的な進歩と繁栄をもたらしててきた。しかしながら、孤立主義の台頭、紛争の激化、気候変動による緊急事態、そして不平等の深刻化が、この進歩を覆そうとしている。これは、G7を含む世界中の国々を脅かす、より不安定な世界を生み出している。世界的な協力なくして、安全保障も公正な経済発展もあり得ない。あらゆる政策決定の中心には、人々の尊厳、安全、そして未来がなければならない。G7は単なる議論の場ではなく、有意義な行動の推進力となり、世界秩序と連帯の擁護者とならなければならない。
G7が50周年を迎えた今、世界の勢力図はその発足以来、劇的に変化し、より多極化した世界と、これまで以上に競合する優先事項が反映されるようになった。先進国の集まりであるG7の影響力は依然として大きいが、世界的な成果を形成する力はもはや保障されていない。また、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナ、世界貿易と経済、そして気候変動対策に関する分裂は、不確実性をさらに高め、数十年にわたる進歩を逆行させる恐れがある。今この瞬間、G7が断固とした行動をとれなければ、信頼性を失うだけでなく、世界の分断を加速させる危険性がある。
協力か、それとも混乱か、賭けられているものは大きい。何十年もの間、G7の決定はグローバルな協力を形成してきた。メンバーは伝統的に経済の安定、国際保健、人道的行動を支持してきたが、同時に直接的および間接的に、不平等を拡大し、持続不可能な成長モデルを定着させ、気候変動を悪化させる政策にも貢献してきた。これは現在、G7の一部の国々とその同盟国における新たな現実、すなわち対外援助の突然の大幅削減と国際協力の後退と相まって、もたらされている。この後退は、次のパンデミックを食い止められず、権威主義の台頭という脅威に耐えられず、何千もの地域社会が住めなくなるような、より不安定な世界を生み出すだけであることを、私たちは知っている。
あまりにも多くの人々にとって、毎朝は不安から始まる。次の食事がどこから来るのかわからない人も多く、特に女性と少女には大きな負担となっている。また、紛争や気候災害で家を失い、夜どこで寝るのかわからない人もいる。限られた選択肢の中で、多くの人々は他の場所に避難することを余儀なくされ、時には不安定さを利用して利益を得ようとする人々の手に落ちることもある。これが、G7諸国の恵まれない市民を含む、何百万、何十億という人々の苦境である。
その一方で、こうした危機への対処のために投入される資源は減少し、市民社会スペースに対する規制はますます強まり、絶望に拍車をかけている。事実、G7諸国を含む世界各国の政府が制限的な法律を制定し、反対意見を封じ込め、人権擁護者やジャーナリスト、草の根の市民社会組織を標的にする中、市民社会スペースは驚くべき速さで閉ざされつつある。自由で活力ある市民社会なくして、開発に意味のある前進はありえない。世界が直面する多くの課題の最前線にいるのは市民社会であり、市民社会に力を与え、 予測可能な資金を提供することは、すべての人の利益であることを再認識しよう。このことは、G7の信頼性と、永続的で前向きな影響に貢献する能力の土台である。
乗り越えられないと思われる障害に直面しても、人々は並外れた回復力を示してきた。しかし、生き延びるだけでは十分ではない。あまりに多くの人々が、自分たちに不利な制度を利用せざるを得ず、機会には手が届かず、希望はますます乏しくなっている。人々は手当てを求めているのではない。機会を拡大し、グローバルな公共財に投資し、持続可能で公平な開発に必要な資源を提供するシステムを支援するために、権力の座にある人々の断固とした行動を求めているのである。
Civil7がG7に求めていることは、単純ではなく、率直なものだ。すべての意思決定に人々と地球を中心に据えることで、グローバルな協力に再投資することなのである。
G7は、現実的・具体的な成果を欠く対話であってはならない。G7諸国は最終的にはそれぞれの国を構成する人々に対して説明責任を負っている一方で、その責任は国境をはるかに越えており、G7が下す決定は世界中の経済と社会の未来を形作るものである。G7は、多国間主義や国家の主権などを含む、繁栄を支えてきたルールに基づく国際秩序を守り強化するだけでなく、すべての人々にとってより公平で持続可能な未来へと世界を導く大胆な選択をしなければならない。
2025年のG7開催国として、カナダは極めて重要な瞬間に立っている。世界は、カナダとすべてのG7諸国が平和、民主主義、人権の価値を再確認し、国連を含む多国間の関与を強化するためにその力を行使することを期待している。グローバルな安全保障と国内の安全保障は深く結びついており、これらの基本原則を信じる指導者は声を上げなければならない。国際協力と対外援助は、単に他者を助けるためだけのものではなく、我々の集団的な安定と繁栄の根幹をなすものである。
2025年、コーポレーション・カナダ(Cooperation Canada)が運営するCivil7(C7)は、G7の内外を問わず、数十カ国から数百もの声を集めている。C7は、4つの優先テーマについて前進を求める市民社会関係者の立場を反映している。それらのテーマは、気候・エネルギー・環境、経済的正義、人道的行動と平和、そして、持続可能な開発である。これらの優先分野すべてにおいて、C7に代表される市民社会組織(CSOs)は、人権と民主主義に対する弾圧の高まりを背景に、変化を促し、市民社会スペースを守るために活動している。
C7は、G7の公式エンゲージメント・グループとしての運営能力を超えて、公益を擁護する者としての立場を活用し、インパクトのある実行可能な提言によって、首脳および閣僚レベルでの対話を豊かなものにしている。
従って、世界の市民社会は、G7諸国の政府に対し、大胆な行動を取り、同盟関係を強化し、グローバルな協力の機会を強化するよう求める。意味のある協力、開放性、尊重、そして対話を通じてのみ、市民社会と政府は、現代の最も差し迫った課題を克服し、次世代が繁栄するための確固たる基盤を築くことができるのである。