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2023年04月19日(水)

C7サミットを終えて改めて思う。SDGsの重要性

若林 秀樹

首相官邸で、C7の代表団が岸田首相に政策提言集を渡す

東京で4月12日に開かれた「東京民主主義フォーラム」、13日、14日に開かれた「C7サミット」、そして場所を広島に移し、16日、17日に地元広島の市民社会中心の皆様が開いた「みんなの市民サミット2023」まで、市民社会ウィークともいえる全日程が終了した。12日には、首相官邸で「C7コミュニケ(政策提言書)」をG7議長である岸田首相に手渡し、G7首脳コミュニケへの反映と、市民社会の提言内容の実現を要請した。

この半年間、C7サミット等の開催に向けてご協力いただいた皆様に改めて心より感謝申し上げたい。

G7が広島で開催される意義

まずは、やはりG7が広島で開催される意義を改めて確認したい。

今から78年前に、広島、長崎に原子爆弾が落とされ、多くの犠牲者が出た。第二次世界大戦の開戦を防げなかった反省の下で、国連が設立され、国際社会は今日まで、世界の平和及び安全を維持するために、様々な取組を行ってきた。

しかし今、残念ながら、再び核兵器使用の脅威が押し寄せている。今、ロシアによるウクライナ侵攻など、国際法を無視した力による現状変更を目の当たりにし、世界各地で紛争が多発している。東アジアでは、中国の台湾や近隣への圧力、北朝鮮の度重なるミサイル発射が続いている。他にも、世界各地で市民の自由な活動の制限、貧困や格差の拡大、飢餓・食糧危機、気候変動等の環境の悪化、パンデミックの拡大などが起きており、我々は複雑で、深刻な問題にぶつかっている。

このような「前例のない」深刻な状況を目の当たりにして、我々は今、これらの問題にどう向き合い、どう解決していくべきなのか。

そのことが問われているG7であり、市民社会も、解決に向けて努力をしなくてはならない。

この度のC7は、昨年から引き継いだ5つのワーキンググループに加え、広島でG7が開催される意義を踏まえ、新たに「核廃絶」のワーキンググループを設置した。そして活発な議論を重ね、C7コミュニケ(政策提言書)を策定した。

SDGsの重要性

C7は、G7の国のみならず、世界72以上の国と地域から700人を超える市民がC7の旗の下に集まり、真剣な議論を重ねて提言書を作成した。

何故なら、G7だけが世界の問題を解決できるものではないからだ。

一方でG7が世界に与える影響力を考えれば、世界の市民の声を聞き、その声をG7の政策に反映させることは当然だからである。世界のGDPの45%を占める経済規模を有するG7は、グローバルサウスを含めた世界の社会課題解決に向け、リーダーシップを発揮する責任がある。

世界では、紛争、災害、飢餓、迫害等で苦しむ人びとが増えている。そして起きている問題に対応することは、「人道支援」や「救済」の観点から極めて重要である。それと同時に、これらの問題が起きないようにするための、「予防的な対応」もまた重要だ。問題が起きないように対応するための取組に比べ、起きてからの対応は人々に深刻な負の影響を与え、費やすエネルギーとコストの方がはるかにかかるからである。その最重要な取組が「持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)」である。

SDGs達成期限まで、あと7年余りしかない。8年前の2015年に、決意と希望を持ってSDGsの17のゴールと169のターゲットを掲げた。

今、その実現に向けて当時と変わらぬ固い決意を持って臨んでいるであろうか。この7年間に起きたさまざまな予期しなかったことを理由に、実現をあきらめていないだろうか。今ここで改めて、このSDGsの取組の重要性を再確認したい。

C7の政策提言はいずれもSDGsの実現に直結している。公平な多国間アプローチと国際的な規範に則り、我々は、最終的に「誰一人取り残さない社会(Leave no one behind)」の実現に向けて、政府のみならず、他のエンゲージメントグループと連帯し、共にベストを尽くしていくべきである。

恐らく次の日本でのG7開催は、SDGs達成期限の2030年になることが想定される。その時に我々は、SDGs達成に向けた最善の努力をしたと胸を張り、日本でのG7、C7開催を迎えたいものである。

広島市を流れる本川と原爆ドーム

C7コミュニケ(政策提言書)はこちらからどうぞ。

執筆者プロフィール

若林 秀樹