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2023年09月10日(日)

【コラム】PEOPLES’ 20 会合、「G20サミットに関するニューデリー宣言」を発表

木村 文

インドで9月9日~10日にかけて開かれる主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に向け、市民社会からの政策提言をしようと活動するPEOPLES’20が、8月23~24日、ニューデリーで会合を開きました。THINK Lobbyのウェブサイトでもこの会合についてお知らせしましたが、最終日には、「G20サミットに関するニューデリー宣言」を発表。G20サミットに参加する各国首脳に対し、「公平で持続可能な世界秩序」の下で、「グローバルな転換期を乗り切る」ことを訴えました。

G20サミットには、アルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、日本、メキシコ、韓国、南アフリカ共和国、ロシア、サウジアラビア、トルコ、英国、米国と欧州連合の首脳が参加します。今年はインドが議長国で、経済、社会、国際情勢など幅広い課題で意見交換をする予定です。

PEOPLES’20によるG20に向けた会合では、経済と財政、労働、子どもと若者、民主主義と市民社会スペース、誰一人取り残さない、といったテーマを掲げたセッションが行われ、討議の内容は「ニューデリー宣言」に反映されました。

「宣言」では、各国政府に対し、「より公平で持続可能かつ公正な世界秩序を育むという誓いの下、共通の目的を掲げて団結し、グローバルな転換期を乗り切る」ことを訴えています。また、「紛争の解決」として、ウクライナ、南スーダン、ミャンマーなどの地域における紛争の終結を求めること、「気候変動対策」として、野心的な温室効果ガス排出削減目標を通じて、早急な気候変動対策を求めることを盛り込んでいます。このほか、「経済的・社会的平等」「持続可能な開発」「民主的価値の保護」といった観点から、各国政府に早急な行動を求めました。

G20は、今年広島で開かれたG7参加国以外にも、インドや中国、インドネシアなど「グローバルサウス」とされる国々が幅広く参加しており、国際情勢に与える影響力の大きさが注目されています。
ただ、報道によると中国政府が習近平国家主席の欠席を決めており、さまざまな臆測を呼んでいます。中国はG7に対抗する枠組みとしてG20を重視してきた経緯があり、初めての欠席です。インドとの間に国境紛争があり、緊張しているためではないか、との観測や、不動産不況など国内に原因があって外遊できないのでは、という見方もあります。

グローバルサウスの国際的な存在感が増したことで、今まで以上にG20は注目されています。その議論の過程で、市民社会の声がどのように反映されるのか、関心を寄せたいと思います。

執筆者プロフィール

木村 文

木村 文

コミュニケーション・コーディネーター