SHARE

2024年04月26日(金)

【参加報告】アジアCSO戦略会議「国際財政構造を変革する」

堀内葵(THINK Lobby副所長)

2024年4月21日(日)から23日(火)まで、タイ・バンコクで開催されたアジアの市民社会による戦略会議「国際財政構造を変革する(Asian Strategy Meeting: Transforming the International Financial Architecture)」に参加しました。

本会議は、アジアで債務課題や気候資金に関する政策提言に取り組むAPMDD(Asian People’s Movement on Debt and Development)と気候・エネルギー課題を研究するインドネシアのシンクタンクであるIESR(Institute for Essential Services Reform)によって共催され、アジア各地から50名ほどが参加して行われました。

気候変動対策への資金拠出や開発途上国が抱える債務再編の課題にどのように市民社会として働きかければ良いか、という戦略を練り、今年から来年にかけて予定されている主要な国際会議(G7・G20サミット、国連未来サミット、IMF・世界銀行年次総会、COP29、国連社会開発サミットなど)に向けた具体的な活動を議論する機会となりました。

初日は全体状況の確認のためのプレゼンテーションが行われ、おおよそ以下のような説明がなされました。

IMF・世界銀行やG7/G20財務大臣会合などの場で議論されている国際財政構造は、世界経済の重要な一部ですが、富と権力が一握りの国家と金融機関に集中し、多くの「南半球諸国」が疎外されています。こうした不公平な関係や力の不均衡は、国際開発金融機関(IFIs)のルール形成やシステムの規範に関わる政府間プロセスに反映されています。国際財政システムの仕組みには欠陥が多く、不公正で非人道的な論理や慣行がまかり通っており、その結果、人々、地域社会、環境、経済に危害とリスクをもたらしています。

例えば、国際金融市場におけるデリバティブ、債券、証券、株式などの金融商品の取引は、今やほとんどの場合、実際の財やサービスの生産から切り離されています。また、短期的な資本の流れ、つまり、規制のほとんどない資本の出入りによって、各国は財政的なショックに対してきわめて脆弱になっています。
こうした欠陥や不公正に対処し、緊急に必要な資金を捻出するためにはシステムの変革が必要である、という認識のもと、具体的には、日本のJICAやJBIC、そして、日本政府が出資するアジア開発銀行(ADB)がアジア諸国に対して融資しようととしている石炭火力発電計画をどのように止めるのか、債務再編に関する政策決定に市民社会の意見をどのように反映させるのか、石炭火力からのフェーズアウトを進めるためにはどの国際会議にどのように働きかければ良いのか、などの課題が参加者によるグループディスカッション形式で話し合われました。

「債務帳消」については、以下のような要求を出したり、能力強化策を検討すべき、という意見が出されました。

  • 違法な債務を拒否し、賠償を要求し、気候変動災害後の債務を緊急に帳消しにすること
  • 気候変動資金融資や「融資」、「債務スワップ」その他の債務創出メカニズムなどの偽の資金調達解決策を拒否すること
  • 能力強化:債務問題をめぐる公の議論と主流となる語りを形成し、債務正義の要求を前進させること。CSOや運動家のために債務正義に関する分析や立場を発展させること
  • 行動の機会:ADB総会、G7/G20サミット、HLPF、IMF・世銀年次総会、UNESCAP FfDコンサルテーション、北京+30
  • 様々な国際的な場における持続的な関与:多国間および政府間プロセス、MDBs総会および会議、開発資金。
  • 戦略会議および連携構築:同盟国やパートナーとの調整・共同作業により、重要な危機におけるキャンペーン活動を強化すること

他にも、気候資金・エネルギー変革、国際資本移動の規制、ADBとAIIBへの異議申し立ておよび変革・改革、IMF・世界銀行への異議申し立ておよび変革・改革、国際租税制度および不正な資金の流れについて取り上げられました。

直近のアクションとして、G7サミット首脳会合および気候変動枠組み会議の補助機関会合の直前である、6月11日(火)に化石燃料フェーズアウトや債務帳消に関するグローバルなキャンペーンを実施することが提案されました。私からはC7サミットを含め、G7/G20関係のスケジュールについて紹介しました。

フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、バングラデシュ、ネパール、インド、パキスタンなど、アジア各国から参加した市民社会とのネットワークを構築する良い機会ともなり、いくつかの団体とは個別に連絡を取り合っています。

JANICは、SDGs市民社会ネットワーク開発ユニット(*注1)のメンバーとして、国際的な開発資金、債務課題、気候資金などに関するアドボカシーに取り組んでおり、2023年のCivil7「公正な経済への移行」ワーキンググループ(*注2)で中心的な役割を果たした団体とともに、2024年度から「経済課題アドボカシープロジェクト(仮称)(*注3)」を開始しました。本国際会議への参加はこのプロジェクトの一環として実現し、今後、日本国内の開発NGO・環境NGOに対しても共同でのアドボカシーを呼びかけ、また、G7/G20サミットや国連未来サミット、IMF・世界銀行年次総会、COP29などの国際会議への参加を予定しています。

*注1:JANICは、一般社団法人SDGs市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)開発ユニットの幹事を共同で務めています。
https://www.sdgs-japan.net/team-4

*注2:Civil7「公正な経済への移行」ワーキンググループによる政策提言は、「C7政策提言書2023」として発表され、2023年4月12日にG7広島サミット議長である岸田総理大臣に手交されました。
https://g7-cso-coalition-japan-2023.mystrikingly.com/blog/230412-c7communique

*注3:「経済課題アドボカシープロジェクト(仮称)」の参加団体は以下の通りです(2024年4月現在)。
アジア太平洋資料センター(PARC)、アフリカ日本協議会(AJF)、グリーンピース・ジャパン、グローバル連帯税フォーラム、国際協力NGOセンター(JANIC)、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、ワールド・ビジョン・ジャパン