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2023年04月05日(水)

世界の「民主主義」を考える「東京民主主義フォーラム2023」を開催します

木村 文

JANICは4月12日、アジアの市民社会スペースが抱える課題について討議し、考える「東京民主主義フォーラム」を開催します。
https://thinklobby.org/news_events/2023apr04-event-jpn/

このフォーラムは、2019年に初めて開催されて以来、今年で4回目になります。その根底にあるのは、「世界の民主主義が脅威にさらされている」という認識です。連日ニュースになっている、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻はもちろん、ミャンマーではクーデターで実権を握った国軍が抵抗する市民を抑圧し続けています。アフガニスタンでは政権を掌握したタリバンにより、女性が学校へ通えなくなったり、仕事ができなくなったりしています。ミャンマーからバングラデシュなどへ逃れたロヒンギャ難民の苦難も続いています。

2020年以降は、新型コロナウイルスの感染拡大が世界の課題を浮き彫りにしました。脆弱な医療インフラ、ワクチンなどをめぐる経済格差、感染予防対策がもたらす様々な権利の制限といった課題に加え、教育環境の悪化や失業や貧困の深刻化、社会的弱者への抑圧や暴力などの問題が露呈しました。

2022年の東京民主主義フォーラムでは、特に、アジア太平洋地域の市民社会組織から見たコロナ禍における市民社会スペース・人権・民主主義の変化が話し合われました。国別には、バングラデシュ、インド、ネパール、パキスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、モンゴル、韓国、カンボジア、ベトナムの10カ国における状況が発表されました。また、テーマ別には、「外国からの介入」をめぐり、市民社会が国際的に協力することに対し障壁が存在することが語られたほか、「新型コロナ・ワクチンへのアクセスと配分の不平等」や「移住と在外投票」についての発表がありました。

今年のフォーラムでは、インド、モンゴル、ネパール、パキスタンからのスピーカーを招く予定です。また、テーマ別では、外国介入法、地域人権メカニズム、持続可能な開発に向けた政策一貫性、国際保健と民主主義といった切り口で、世界各地の状況を話し合います。

世界のほとんどの人々が「わがこと」として直面した新型コロナは、前述のように社会に深く根付いていた課題や不公正、不公平を浮き彫りにし、その解決に取り組むために市民社会スペースの確保が必要であることを明らかにしました。コロナは災いをもたらしましたが、その一方で、世界に共通の課題があることも見せつけたのです。「アフターコロナ」となりつつある今も、根深い課題は解決していません。私たちが引き続き、世界の民主主義をめぐる課題から目をそらさずに取り組むために、各地の市民社会の生の声を聴きたいと思います。

執筆者プロフィール

木村 文

木村 文

THINK Lobbyコミュニケーションコーディネーター