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2023年03月10日(金)

ミャンマーのWe are the World

木村 文

1985年、「USAフォーアフリカ」として著名なアーティストたちが集まり、歌ったWe are the Worldをご存じだろうか。マイケル・ジャクソン、スティービー・ワンダー、ブルース・スプリングスティーンなど、大スターたちが、アフリカの飢餓や貧困を解消したい、という願いを込めて歌ったキャンペーンソングだ。

この曲を、ミャンマー出身のアーティストたちがカバーした動画が話題になっている。
We are the World covered by Chinung Chhuak Artist

ミャンマーの日本語情報サイト「ミャンマー・ジャポン・オンライン」によれば、同国内で2021年2月に起きた国軍によるクーデターの後、インドへ亡命した歌手や、アメリカ生まれのチン族のアーティストら総勢25名が、3カ国で収録を行ったという。動画は2月3日にYOUTUBEで公開されて以来、再生回数は3月初めで160万回を超えた。

国軍がクーデターで実権を握ってから2年。ミャンマー国内の状況は悪化の一途をたどり、ヒューマンライツウォッチによれば、これまでに2,900人が殺害され、少なくとも17,000人が逮捕・拘束されたという。

動画では冒頭に、エレナ・H・パーさんが、ミャンマー国軍が罪のない市民を殺害し、攻撃しているとして、世界に「国軍による独裁を阻止し、正義と民主主義を求めるミャンマーの人々を助けて欲しい」と、語りかける。続いて、25名のアーティストたちがWe are the Worldを歌いつなぎ、最後はオリジナルのラップが披露される。

ラップ部分では「声を上げよう、その声を世界が聞いてくれることを願おう」というフレーズが繰り返される。
アーティストたちの声の深さ、豊かさに驚くとともに、歌に込められた願いが伝わってきて心を打たれる。
YOUTUBEのほか、音楽配信サービスのApple Music やSpotifyでも聴くことができるので、ぜひこの音楽に触れて欲しい。

(ウィークリーコラムは個人の見解に基づく記事であり、THINK Lobbyの見解を示すものではありません)

 

執筆者プロフィール

木村 文

木村 文

コミュニケーション・コーディネーター